貴文がプロポーズするまでの道のりを記したブログ
リリースの日付 : 2007 - 03 - 22
PRAMやナノチューブなど、次世代メモリの開発は進んではいるが、25ナノメートルの壁を超えるには膨大な投資が必要だ。(ロイター)
米粒ほどの大きさの何百個もの四角形がピカピカのシリコン板を埋め尽くしている――。これは、米Micron Technologyの付属の研究施設での光景だ。
こうしたセルには、幅50ナノメートル(nm:人間の頭髪の約2000分の1の細さ)の回路が焼き付けられている。ダウンサイジングプロセスの最前線では、今や、1つのメモリチップに何時間分もの楽曲や何百枚分ものデジタル写真を保存できるようになっているのだ。
だがメモリチップのメーカー各社は、シリコン板をベースとした技術がいずれ、そう遠くない将来に、物理的な問題に直面し、メモリをもうそれ以上はサイズダウンできないという日が来ることを予想している。メモリの小型化は、MP3プレーヤーやデジタルカメラといった製品で今後ますます必要とされるはずだ。
「25ナノメートルの時代には、不揮発性メモリの新しい構造が必要となるだろう」とマイクロチップ製造ツールの世界最大のサプライヤーであるApplied MaterialsのCEO、マイク・スプリンター氏は語っている。
「わたしはこの点が非常に不安だ。25ナノメートルはそれほど遠い先の話ではないからだ。そして、数世代の間にプロセスを変更しなければならないようなら、それは本当に難しい課題だ」と同氏は最近、Reutersの取材に応じ、語っている。
そうなれば、デジタル音楽プレーヤーやデジタルカメラなどの製品の開発も遅れることになる。こうした製品に使うには、現行のフラッシュメモリ(楽曲や画像の保存に使われる)では、あと数年で物足りなくなるだろう。
これまで、メモリやプロセッサのサイズダウンのペースは「ムーアの法則」として知られる有名な理論に従ってきた。この法則は、1965年にゴードン・ムーア氏が提唱したもので、同氏はその3年後、半導体メーカーのIntelを創業している。
ムーア氏が提唱したのは、「一定面積に集積できるトランジスタの数は2年ごとに倍増する」という法則だ。同氏はその後、期間を「18カ月ごと」に短縮している。
ムーアの法則の限界は、プロセッサよりもメモリチップで早くに訪れると見られている。これは、動作の違いによるものだ。プロセッサ上の回路は電子の流れをガイドするパイプとして機能するが、メモリチップは電気を帯びた電子プールを使ってデータを保存するため、各プール内の電子の数が減るとデータの読み取りが難しくなる。
こうした懸念については、Micronのライバルで世界最大のメモリチップメーカーである韓国Samsung Electronicsのマーケティングディレクター、トム・トリル氏も同じように感じている。
「これは、われわれが常に抱いてきた不安だ。そして、われわれは常に答えを見つけてきた。だが、ここ数カ月は悲観論が再燃している」とトリル氏はReutersに語っている。
こうした懸念から、大手のメモリメーカー各社は次なる大きな技術の開発に何億ドルもの予算を投じている。
MRAM、PRAM、分子メモリ、カーボンナノチューブなど、代替選択肢として考えられている技術はまるでSFの世界だ。
「向こう10年間で、われわれはかなりの新しい技術を必要とすることになるだろう」とMicronの最高執行責任者(COO)マーク・ダーカン氏はボイシの本社で語っている。
そのほかにも、Intel、韓国Hynix Semiconductor、独Infineon、東芝、日立、富士通といった大手半導体メーカー各社が新技術の開発に取り組んでいる。
最も期待できる新技術の1つは、相変化メモリのPRAMだ。相変化メモリでは、電荷の変化ではなく、ゲルマニウム合金の物理的状態の変化(非晶質・結晶間の相変化)を使って、データを保存する。音楽も同じ原則でCDに保存される。
ゴーサイン
IBMは2006年12月、現行のフラッシュメモリよりも500倍高速に稼働し、消費電力は半分以下というプロトタイプチップを開発したと発表している。アナリストによると、これは相変化メモリの実用化に向けた大きな前進という。
重要なことには、IBMの研究者らは、この技術を20ナノメートルという小さい回路の作成に使用できることを示している。これは、現在の最先端のフラッシュ技術の半分以下のサイズだ。
「業界にとっては、ゴーサインのようなものだ。これで、“オーケー、この技術の進展に投資しよう”と思える」とIBMのナノスケール技術担当上級マネジャー、スパイク・ナラヤン氏は語っている。
そのほかの期待できる新技術としては、電荷の代わりに磁場を使った磁気メモリや、電子を簡単に操作できるカスタムデザインの分子やポリマー、カーボンナノチューブなどが挙げられる。こうした新技術のほとんどで問題となるのが、安価で大量生産が可能かという点だ。
今日のメモリ市場では、4種類のメモリがそれぞれ数億ドル規模の市場を確立している。同様に、将来のメモリ技術もおそらく、それぞれが各自のニッチを見つけることになるはずだ。
新技術はおそらく、業界でクロスライセンスされることになるだろう。この業界では現在、総生産量の80%以上をトップ5社が独占し、それに続く5社が残り20%のうち19%を占めている。
「そうした2番手の5社のいずれかがトップ5社に食い込むチャンスはおそらく少しはあるだろうが、だとしても、業界全体を揺さぶるようなことは起こらないだろう」とAmerican Technology Researchのアナリスト、ダグ・フリードマン氏は指摘している。
新しいメモリ技術はいずれも、幾つか主要な要件を満たす必要sがある。多くのデータを保存でき、そのデータを迅速に読み書きでき、電源がオフになっている間もそのデータを保持できるといったことだ。
そして、おそらく最も重要なのは、現行の製造技術を使えるかということだ。そうでなければ、企業が全く新しい製造工場に多額の投資を行うことを厭わないほど十分な魅力を備えている必要がある。
「2年おきくらいで、誰かしらが、より良いメモリ技術を見つけたと言っているが、常に何か技術的な制限がある。そうした状況が30年間続いてきた」と市場調査会社In-Statのアナリスト、ジム・マクレガー氏は指摘している。
「こうした各種のメモリ技術はいずれも前途有望だ。唯一の問題は、複数の半導体企業、あるいは少なくとも大手1社に、新技術の習熟曲線のために何十億ドルという予算を投じてもらわない限り、そうした技術は決して実現しないということだ」と同氏は語っている。