Sep 3
Posted at Sep 3, 2008 08:22 PM コメント (0) トラックバック (0)
リリースの日付 : 2008 - 09 - 03
Google ChromeとIE 8、2つの最新ブラウザを使って比べてみた。ChromeはIE 8より速いが、IE 8の方が優れている機能もある。
GoogleがMicrosoftのInternet Explorer(IE)から市場の覇権を奪うことを目指し、新しいWebブラウザ「Chrome」をリリースした。これはGoogleとMicrosoftの戦いを新たなレベルへと導くものだ。Googleが成功すれば、それはすごいことだ。Webの未来に大きな影響を及ぼすだろう。
だがChromeの出来はどうだろうか? IEとは、それからMozillaのFirefoxやAppleのSafariなど、利用者はやや少ないが重要なブラウザとはどう違うのだろうか?
わたしはChromeを1週間ほどテストしてすべての機能を試し、先週登場したばかりのMicrosoftの最新版IEと並べて使ってみた。
わたしの判決はこうだ。Chromeはスマートで革新的なブラウザであり、多くの一般的なケースでは、Webの利用はより速く、簡単になり、不満も少なくなる。だが最初のバージョン――まだβ版だ――は荒削りで、Googleが後で追加する予定の一般的なブラウザ機能が幾つか欠けている。ブックマーク管理、ブラウザから直接リンクやページを電子メールで送るためのコマンド、さらにはWebページのロードがどのくらい進んだかを示すプログレスバーもない。
Chromeのインタフェースには、標準的なブラウザのデザインを大胆に変えた点が幾つかある。これらの新たな機能はWeb体験を強化するが、ユーザーの側である程度の慣れが必要になるだろう。例えば、Chromeはほとんどのメニューやツールバーアイコンを廃し、Webページを表示するスペースを最大限に取っている。さらに、Webアドレスを入力するアドレスバーと、検索キーワードを入力する検索ボックスを統合している。これは「Omnibox」と呼ばれる。
特筆すべき違いの1つは、Webページを表示するタブの処理方法だ。Chromeでは、それぞれのタブが別のブラウザとして動作する。ブックマークバー、Omnibox、メニュー、ツールバーアイコンはブラウザの上部ではなくタブ内に置かれている。タブはウィンドウの一番上に表示される。また、関連するタブはグループ化される。既に開いているページのリンクから新規のタブを開くと、新しいタブはタブの並びの一番後ろではなく、元のページの隣に現れる。
GoogleはChromeは高速だと主張しているが、わたしがテストしたところでは、Webページを開くという普通の作業で、FirefoxやSafariよりも目に見えて遅かった。だが、IEの最新版――こちらもβ版で、IE 8という――よりは速いことが判明した。
一方のMicrosoftも何もしていなかったわけではない。IE 8のβ2はここ数年で最高のIEのバージョンだ。新しい独自機能が詰まっており、中にはChromeに似た機能も、わたしから見ればChromeに勝る機能もある。
例えば、IE 8も関連するタブをグループ化するが、それぞれのタブグループに異なる色を割り当てており、クリック1回ですべてのタブを閉じることができる。独自の「スマートな」アドレスバーがあり、入力している途中で候補のドロップダウンリストが現れる。ただし検索ボックスは別になっている。
またIE 8にはChromeをしのぐ画期的なプライバシー機能があり、「アクセラレータ」という新機能もある。アクセラレータは、Webページ上で地名を選択して地図を表示するといったように、ページ上で選択した単語やフレーズに対して、新しいページに移動せずにすぐに何らかの操作ができるというもの。
これらブラウザの開発が進めば、Chromeの今の唯一の対応OSであるWindowsでわたしがベストブラウザとしているFirefox 3.0に勝てる可能性も十分にある。だがChromeもIE 8もページロードを高速化する必要がある。またMacでFirefoxに勝つためには、GoogleはMac版Chromeを提供するという約束を守らなければならない。Googleは数カ月以内にMac版Chromeを提供するとしている。MicrosoftにはMac版のIE 8を提供する計画はない。
ChromeとIE 8はAppleのSafariよりもずっと進んでいる。SafariはMacでもWindowsでも高速だが、GoogleとMicrosoftのブラウザにあるようなインテリジェントな機能の多くを欠いている。
Googleはなぜ新たなブラウザ戦争を始めようとしているのだろうか。主な理由は2つあり、どちらもMicrosoftとの競争に関係している。1つは、Googleの検索エンジンや主要製品はブラウザに依存しているため、同社は、オンラインで競合するMicrosoftが、約75%のシェアを持つIEの設計を変えることで有利な立場に立てるかもしれないと懸念している。
2つ目の理由はもっと重要だ。現在アプリケーションはコンピュータOS、特にMicrosoftのWindowsから直接実行されているが、GoogleはWebをアプリケーションのプラットフォームとしてとらえている。同社は、今のブラウザには、JavaScriptを多用した将来の強力なWebアプリケーションを実行できる基盤設計がないと主張している。Chromeは、世界で最もJavaScript処理が高速なブラウザを目指して設計された。
これによりChromeはいつか、Windowsと張り合うオンラインOSのようなものになるかもしれない。「ChromeをシンプルなWebブラウザ以上のものとして考えてほしい」とGoogleは宣言している。「これはWebアプリケーションを実行するためのプラットフォームだ」
わたしはChromeとIE 8のテストにごく普通のLenovo ThinkPadを使った。OSはWindows XPで、そこそこのプロセッサと1Gバイトのメモリを搭載している。
ChromeのWebページロード速度を測るために、複数の一般的なWebサイトで構成される2つのグループを同時に立ち上げた。サイトはそれぞれ別々のタブで開いた。1つ目のグループは15のスポーツサイト、2つ目のグループは19のニュースサイトで構成される。Chromeでかかったロード時間はそれぞれ35秒と44秒。IE 8はそれより遅く、49秒と75秒だった。だがFirefoxとSafariはもっと速く、15のサイトを19秒で、19のサイトを28秒で開いた。
Googleは、JavaScriptを多用した、今のWebサイトよりも高度な将来のWebアプリケーションは、Chromeではより速く動作すると主張している。もちろん将来のことに関する主張はテストできなかった。だが、Chromeを幾つかの開発者用JavaScriptテストサイトで走らせてみたところ、ほかのブラウザにたやすく勝利した。とは言えGoogleは、今のWebアプリケーションで大きな差が見られるとは言っていない。
Chromeと一般的なWebサイトとの互換性についてもテストしてみた。結果はおおむね良好で、サイトは正しくレンダリングされた。だがビデオでは問題が起きた。一部のビデオサイトではChromeが認識されなかった。Chromeの開発が秘密にされていたためだ。メジャーリーグのサイトなどほかのサイトでは、ほとんどのビデオが再生できたが、うまくいかないときもあった。
IE 8にも、いろいろな理由から多少の互換性問題がある。同ブラウザは、Web標準に厳密に準拠する初めてのIEのバージョンだ。これまでのバージョンは、Webサイトのレンダリングを標準的でない方法で実行していたため、一部のWebサイトデザイナーはIEではページを正しく表示できるが、FirefoxやSafariでは表示が崩れるような手法を採用していた。皮肉なことに、今はそうしたページがIE 8で正しく表示されなくなっている。そこでMicrosoftは、サイトを正しく表示させる「Compatibility View」ボタンを組み込まなければならなかった。
Chromeは3つの中核設計原則に基づいている。1つ目はシンプルなユーザーインタフェース。Chromeは2つのメニューと少数のツールバーアイコンだけを備えている。IEはバージョン7で同様のアプローチを採用したが、Googleとは違う。Microsoftはユーザーが従来のメニューバーに戻せるようにしているが、Googleはそうしていない。Chromeで追加できるツールバーアイコンはHomeボタンだけだ。
2つ目の原則は、ユーザーが1つの場所、つまりOmniboxに何でも入力でき、閲覧履歴やGoogleの人気サイトランキングを基にしたお勧めの候補がすぐに提示されるというもの。Webアドレスを入力しても検索キーワードを入力しても、Omniboxはスマートに対応する。テストでは、よくアクセスするサイトの名前の最初の1~2文字を入力しただけで、正しい行き先が出てきたこともあった。
Omniboxにはほかにもクールな機能がある。「Tab-to-Search」というものだ。Amazon.comなど、独自の検索機能を持つサイトの名前を入力した場合に、Omniboxでタブキーを押せばそのサイトの中を検索できる。そのサイトを最初に開く必要はない。Chromeのオプション設定で、Omniboxで使うデフォルトの検索エンジンを変えることも可能。Googleの検索サービスの代わりに、MicrosoftのLive Search、Yahoo! Searchなどを使える。
3つ目の原則は、それぞれのタブを内部では別々のブラウザとして実行するというもの。タブをブラウザの外にドラッグすると、別のウィンドウになる。1つのタブがクラッシュしても、ブラウザの残りの部分は動作し続ける。だが、これは完ぺきではない。テストでは、NBCサイトでオリンピックの動画を見ようとしたときにChrome全体が落ちてしまった。
タブを単独のプログラムのように、スタートメニューやデスクトップから起動するスタンドアロンのアプリケーションにすることも可能だ。
Chromeにはほかにも幾つか機能がある。新しいタブを開くと、空白のページではなく、頻繁にアクセスするページのサムネイルと、最近使った検索エンジンとブックマーク、最近閉じたタブのリストが表示される。
ほかのブラウザと同様に、Chromeはユーザーが不正なあるいは偽のサイトにアクセスしようとすると警告を発する。シークレットモードというプライベート閲覧モードもあり、コンピュータに履歴を残さずにWebサーフィンができる。これはSafariで人気が出た機能だ。
Chromeにはポップアップブロッカーもあるが、ポップアップが遮断されたことを通知してくるのがいらだたしい。IEにも同様の機能があるが、Chromeとは違って警告は煩わしくない。
IE 8にはChromeにはない新機能がある。プライベート閲覧モード「InPrivate」はわたしがこれまで見た中では一番だ。コンピュータに痕跡を残さないだけでなく、Webサイトがユーザーの閲覧履歴に関するある種の情報を収集するのを防ぐ。
IE 8のアドレスバーと検索ボックスは別々だが、どちらも入力途中で候補を提示してくれる。どちらもChromeより整然としている。例えば、アドレスバーからドロップダウン表示される候補のリストは、IE 8の推測、閲覧履歴、お気に入りに基づいてカテゴリー分けされている。これをWindows XPで使うには、Microsoftのデスクトップ検索製品をインストールしなければならないという欠点はあるが。
Chromeと同様に、IE 8ではデフォルトの検索エンジンを変えられるが、即座に検索エンジンを切り替えることもできる。検索キーワードを入力する際に、別の検索エンジンのアイコンが候補リストの下部に表示される。このアイコンをクリックすると、MicrosoftのLive Searchの代わりにGoogleの検索結果を見るといったことができる。
IE 8のアクセラレータは、Webページ上で選択したテキストの上に青い矢印アイコンを表示する。このアイコンをクリックすると、ブログに投稿、メールで送信、地図表示、検索など、選択したテキストを使ってできる操作のリストが現れる。デフォルトではMicrosoftのWebサービスを使うよう設定されているが、GoogleやYahoo!など他社のものに変更できる。
MicrosoftはWeb Slicesという機能も盛り込んでいる。サイト開発者がWebサイトの一部をIE 8のお気に入りバーに表示して、常に更新できるというもの。例えば、eBayの入札状況をお気に入りバーに表示するといったように。
Chromeと同様、IE 8は新しいタブを作成したときに、最近閉じたタブやアクセラレータのリストなど、便利な情報を表示する。
Chromeの登場で、コンシューマーは新しく革新的なブラウザの選択肢を手に入れた。そしてIE 8により、新たなブラウザ戦争は素晴らしい戦いになるはずだ。
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