貴文がプロポーズするまでの道のりを記したブログ
リリースの日付 : 2008 - 12 - 25
ヤンCEOの新生活、Googleの検索シェア――。今年バルマー氏が贈ってくれた12個のプレゼントを振り返ってみよう。
米Microsoftのスティーブ・バルマーCEOにとって、今年は良い年にはならなかった。米国産車に乗っていることでも知られるデトロイト生まれのバルマー氏だが、今年は自動車メーカーにまで失望させられた。
米Yahoo!への買収提案は失敗に終わり、金融危機の中、Microsoftの株価は下落し、世界的な景気後退を受け、ソフトウェアの売れ行きは落ち込み、Windows Vistaを採用済みの企業は全体のわずか10%にとどまっている。バルマー氏にとって、今年は良い年ではなかった。
気になるのは、サンタクロースがどうするかだ。サンタのおじさんもバルマー氏を見捨て、同氏を「悪い子リスト」に入れるのだろうか? 今年1年いい子にしてなかった子供たちの靴下には、サンタさんはプレゼントの代わりに石炭を入れることになっている。
eWEEKのMicrosoft Watch執筆者の中には、バルマー氏の身代わり人形を作って火あぶりにしたい(もちろん、物の例えだ)と思うほど、彼を嫌っている者もいる。だが、わたしは同氏が好きだ。バルマー氏は情熱的で、分かりやすい人間だ。隠し事などできないタイプだ。例えば、「ところでバルマーさん、Windows 7のβ1は1月初旬までにリリースされるのですね?」と記者に尋ねられたとする。そんなとき、彼は「いや、違う! そんなことは一言も言っていない。リリースの時期はリリースの準備が整ってからでないと……」などと躍起になって否定するだろう。でも、それがうそなのはバレバレだ。あまりに熱心に語るものだから、バルマー氏には隠し事など不可能なのだ。
企業のCEOに二枚舌の人が多いのは残念なことだ。たとえ、そうせざるを得ないからであろうと、単に性格からくるものであろうとだ。だがバルマー氏の場合、その率直さはすがすがしいまでだ。わたしはぜひともオフレコで同氏にインタビューをしてみたい。2人だけで腹を割って話してみたいのだ。同氏がAppleやGoogle、そしてそのほかいろいろなことについて実際どのように考えているのかを聞いてみたいものだ。やれやれ、来年のクリスマスにはサンタさんに「バルマー氏へのインタビュー」をお願いしなければ。
とにかく、なぜだがわたしはバルマー氏が好きなのだ。本稿ではバルマー氏の今年1年の行動を振り返り、彼のクリスマスの靴下を石炭ではなくプレゼントでいっぱいにするようサンタのおじさんにお願いしたい。以下には、バルマー氏が今年他人に与えた12個のプレゼントを書き出す。その多くはクリスマスのかなり前のものではあるが、こうした慈善行為には必ずや何かしらの価値があるはずだ。バルマー氏には、これら12個のプレゼントを思い出して、笑って欲しい。わたしは本当にあなたのファンなのだから。だからこそ、わたしはこうしてあなたをからかわずにはいられない。
1. ジェリー・ヤン氏の新生活
Yahoo!の創業者であるジェリー・ヤン氏にとっては、この上場企業の経営を維持するためにすべきことがとにかく多過ぎた。だがMicrosoftによる446億ドルでの敵対的買収提案が失敗に終わったおかげで、Yahoo!の株主はヤン氏にCEO職から退くよう要求。おかげで、今やヤン氏には家族や友人と過ごす時間がたくさんある。そしてYahoo!の経営に伴うあらゆるストレスから解放されたヤン氏は恐らく長生きできるだろう。Microsoftによる敵対的買収提案がなければ、ヤン氏のYahoo!経営計画はそのまま継続され、同氏は今ごろCEOとして多忙な生活を送っていたことだろう。
2. Google検索のシェア
「敵に与える」というのは、クリスマス精神にのっとった行為だ。バルマー氏はライバルのGoogleに多くを与えた。一部には、Yahoo!の買収に失敗した影響もある。この敵対的買収提案をめぐる4カ月にわたる大混乱の間、MicrosoftとYahoo!はいずれも検索市場でシェアを減らした。さらにMicrosoftは1年を通じてGoogleにシェアを譲り続けた。市場調査会社comScoreによると、昨年12月に58.4%だったGoogle検索のシェアは先月63.5%に増えている。同じ11カ月間で、Yahoo!のシェアは22.9%から20.4%に縮小し、Microsoftのシェアも9.8%から8.3%に減っている。
3. 「パッチを当てて」
バルマー氏は顧客の面倒を見る方法をよく心得ており、顧客の安全を確保するために多くを与えている。Microsoftは今年1年で80件のセキュリティ情報を公開した。つまり、表向きは80個のパッチをリリースしたということだ。だが実際にバルマー氏が与えているものは、その数字が示すよりもはるかに大きい。なぜなら、それぞれのセキュリティ情報では、パッチを当てるべき多数の製品がカバーされているからだ。例えば、MS08-075のセキュリティ情報では、最新のデスクトップ版とサーバ版のWindowsソフトウェアの5種類のバージョンがカバーされていた。Microsoftは1件のセキュリティ情報で、5つの製品向けのパッチをリリースしたのだ。与えることの素晴らしさはそれを大げさに言い触らさないことにあるという人もいる。確かに、バルマー氏の会社も毎月顧客に提供しているパッチの実数を言い触らしたりしていない。
4. Windows XPの販売延長
バルマー氏はMicrosoftのOEMやシステムビルダーからVista以前のWindowsを取り上げることができなかった。同氏はWindows XPの販売期限を幾度も延長し、メーカー各社にXPの販売を許可したのだ。なんとすごい男だ。その上MicrosoftはNetbook向けにWindows XP Homeのライセンスまで販売した。このようにWindows XPの延命が続くのなら、誰がVistaなど必要とするだろう?
5. BlackBerryとiPhone
「ものを分けるときは公平に」という言い方があるが、Microsoftは今年、モバイル市場で多くのシェアを他社に譲った。バルマー氏の懸命なWindows Mobile戦略にもかかわらず、Windows Mobileは出荷台数でカナダのResearch In Motion(RIM)に2位の座、Appleに3位の座を許した。うわさが本当ならば、もしかするとMicrosoftは2009年に向けてひそかにZune携帯やZuneソフトウェアを準備中なのかもしれない。ただし2008年に関していえば、シェアは平等に分配された。
6. 欧州連合
バルマー氏は欧州諸国には札束を送った。しかも、これは2度目のこと。欧州連合は今年2月、Microsoftに対して8億9900万ユーロ(約13億5000万ドル)の制裁金の支払いを命じ、この決定により、バルマー氏が欧州諸国に支払う制裁金の総額は約25億ドルに達した。やれやれ、これで欧州の経済はかなり潤ったはずだ。だが待てよ、本当にそんなことが? Microsoftは今年5月、この制裁金の取り消しを求めて控訴している。
7. Live Search
払い戻しと言えば、バルマー氏はMicrosoftの検索サービスを利用してくれる忠実な顧客に何かを与えるべきだと判断したようだ。Live Search Cashbackプログラムは、同社の検索サービスを利用して製品を購入したユーザーにキャッシュバックを行うというもの。キャッシュバックの額が少ないなどと誰が言おう? 何しろ、Microsoftは何ら見返りを得ることなく、与えてばかりなのだ。comScoreによると、11月にはMicrosoftの検索シェアは縮小している。そう、Microsoftはキャッシュバックを与えたにもかかわらず、検索シェアは増えなかった。これこそ、クリスマスの精神だ!
8. ビル・ゲイツ氏
6月後半、バルマー氏はMicrosoftの会長を世界の人々に譲り渡した。ゲイツ氏にセミリタイアを認め、同氏が自分の時間の80%を慈善事業に充てられるようにしたのだ。このタイミングが、ちょうど世界経済が大きく悪化しようという、まさに重要な転換期であったことを誰が想像できただろう? ねえ、スティーブ、どうだろう? ゲイツ氏にWikipediaに少しお金を寄付するよう頼んでみては? わたしが先日Wikipediaにアクセスしてみたところ、創設者のジミー・ウェールズ氏から直々に寄付を募られた。まあ、これは既にほかにも1000件ほどの慈善団体がゲイツ氏に寄付を頼んでいなければの話だが。
9. ジェリー・サインフェルド
リッチなセレブはもうお金など必要ないのだろう。それはわたしも分かっている。だがこれほど気前がいい話は無視できない。報道によると、Microsoftは3つのテレビCMへの出演料としてこのコメディアンに1000万ドルを支払ったという。待てよ、本当の意味でプレゼントをもらったのはビル・ゲイツ氏だったのでは? ゲイツ氏はジェリーと一緒にCMに出演し、このコメディアンの求めに応じて尻を振るという恩恵にあずかったのだから。OK、このプレゼントはこれまでで最もクールな退職プレゼントだったのだと思うことにしよう。
10. 米国の独禁法違反当局
自分がそうだから人のことも分かるのだろう、という意味で使う言葉があったような。そう、「あなたに言われたくないよ」だ。バルマー氏は独占企業であること、そしてそのために有罪判決を受けることについて、多くを知っている。だからこそ、同氏は第3四半期中、ワイントンD.C.でのロビー活動に190万ドルもの資金を投じ、Googleの独占状態が進む危険性を司法省に分からせようとしたのだ。このロビー活動のおかげで、司法省の弁護士らは、シャーマン独占禁止法違反でGoogleを訴えるべき状況が近いことを十分に理解した。だがGoogleは結局、Yahoo!に検索サービスを提供する計画を断念した。
11. 「わたしはPCです!」
バルマー氏はWindowsユーザーにWindows抜きのアイデンティティーを与えた。話題を集めたAppleのCMキャンペーン「Get a Mac」に対抗し、MicrosoftもCMを打ち出した。AppleのCMは、2人の俳優が「こんにちは、わたしはMacです。そしてわたしはパソコンです」と言うところから始まるが、一方のMicrosoftはCMで実在の人物にそれぞれ「わたしはパソコンです!」と叫ばせている。Windowsが一切宣伝されていない「わたしはパソコンです!」というCMを見て、誰がWindowsを欲しいなどと思うだろう。すごいぞ、スティーブ。
12. Windows Vista Capable訴訟
与えることには、つらい犠牲も付き物だ。「Windows Vista Capable」というロゴの使用をめぐる訴訟において、バルマー氏は関連メールの公開をめぐり、連邦地裁の判事に証言を命じられた。Microsoft幹部とIntel幹部の間でやりとりされたメールは、ブロガーや新聞雑誌記者らに多くのネタを提供した。陰謀説を唱える向きには、憶測や中傷の格好の呼び水となった。また一方では、このメール開示はあらゆるゴシップ好きを楽しませた。バルマー氏の最高のプレゼントはまだ公開されていない。先月遅く、判事はバルマー氏に対し、原告側からの尋問に宣誓の上で証言するよう命じている。スティーブ、あなたはわれわれにもっとドラマを見せてくれるのだろうか?
結論としては、わたしはサンタさんにこう頼むべきだろう。サンタさん、今年はバルマー氏にご褒美を与えてくれませんか? バルマー氏は多くを与えてくれた。それでも、Microsoftにはいろいろ悪いことが起きた。サンタさん、今年はデトロイトの子供たちには石炭を配らないでおいてはいかがだろう?